今年最後の現場確認は木造3階の集合住宅、基礎工事前の地盤補強工事でした。
設計時の地盤調査にて、建物の荷重が影響する深さに沈下する要因となる自沈層があり、将来的に不同沈下の可能性が考えられるため、地盤補強工事が必要と判断されました。
地盤補強にはいくつか種類があり、
・セメントと土を混合撹拌して地面表層を改良する表層改良
・セメントコラム(柱状)を建物直下に並べる柱状改良
・鋼管杭(厳密には杭ですが…)
等があり、建物重量や敷地状況により適切な選定をする必要があります。
地盤補強については地盤補強業者の提案を構造設計者が判断することが多く、今回採用した柱状改良に鋼管を付加したものは私自身初めて見る工法でした。
こちらが鋼管杭です。これが直径40cmのセメント柱の真ん中に入ります。
鋼管の直径は48.6mm、厚みが2.8mmです。
節のような加工がしてあり、セメントコラムと付着を考えられた形をしています。
少し脱線しますが、設計にはスケール感が大切と先輩に教わりました。
身近な自分の体が定規にしやすく、私が片手を上げた指先から床まで2.3m、身長は1.8m、床から肩まで1.5m、床から腰まで1.0m、肘から拳先まで40cm、小指から親指まで開いて20cm、親指の長さ5cm、などと記憶して、日常生活にふと役立つことがあります。
ですのでセメント柱径は私の肘から拳先間とほぼ同じ、鋼管の径は親指の長さとほぼ同じとなります。
2.8mmの厚みは100万円の厚みが10ミリ(1cm)ですので、28万円ですね。
最後は単位が変わってしまいました...
日常生活に役立つことでもありません...
すみません。
セメントコラムと一体化されたこの柱状体が掘り起こされるときは何十年後になるでしょうか。
きっとその頃は建築材料や施工方法も大きく変わっていると思います。
これから長い間よろしくね。とひっそりと鋼管に声をかけて今年最後の現場をあとにしました。
今年も皆様のおかげで様々なお仕事をいただき、ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
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